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内容紹介
20年間に渡るアメリカによるアフガニスタンの支配は終焉を迎えた。タリバンの復権は何を意味するのか? 日本にはどんな影響があるのか? そして大きな歴史の流れのなかでアメリカの終焉を決定づけるきっかけになったと語るのが、イスラーム法学者の世界的第一人者・中田考氏。中田氏は現在のタリバン指導部との親交も深く、世界でも稀に見るタリバンの思想と政治組織に精通した人物。はじめて語られる「タリバン復権の真実」に読者は驚愕と衝撃を受けるにちがいない。今後の国際情勢を見極める上で必須の教養書の一冊。
■目次■
口絵/地図/アフガニスタン 戦乱の近現代史(年表)
序 タリバンの復活とアメリカの世紀の終焉
第Ⅰ部:タリバン政権の復活
第1章 タリバンについて語る
第2章 アフガニスタンという国
第3章 アメリカ・タリバン和平合意
第4章 イスラーム共和国とは何だったのか
第5章 タリバンとの対話
第6章 タリバンとは何か
第7章 タリバンに対する誤解を超えて
第8章 タリバンの勝利の地政学的意味
第9章 タリバン暫定政権の成立
第10章 文明の再編とタリバン
第Ⅱ部:タリバンの組織と政治思想
第1章 翻訳解説
第2章 「イスラーム首長国とその成功を収めた行政」(翻訳)
序
1.国制の法源
2.地方行政の指導理念
3.地方行政区分
4.村落行政
5.州自治
6.中央政府と州の関係
7.中央政府
8.最高指導部
9.最高指導者
10.副指導者
結語
第3章 「タリバン(イスラーム首長国)の思想の基礎」(翻訳)
序
1.タリバン運動の指導部とその創設者たちのイスラーム理解
2.思想、行状、政治、制度における西欧文明の生んだ
退廃による思想と知性の汚染の不在
3.国際秩序、国連、その法令、決議等と
称されるものに裁定を求めないこと
4.アッラーの宗教のみに忠誠を捧げ虚偽の徒との取引を拒絶すること
5.領主と世俗主義者の指導部からの追放と
学者と宗教者の指導部によるその代替
6.民主主義を現代の無明の宗教とみなし信仰しないこと
7.一致団結と無明の民族主義の拒絶
8.純イスラーム的方法に基づくイスラームの実践
9.政治的制度的行動の方法において西洋への門戸の閉鎖
10.女性問題に関する聖法に則った見解
11.ジハードとその装備
跋 タリバンといかに対峙すべきか
解説 欧米諸国は、タリバンの何を誤解しているのか? 内藤正典
付録 アフガニスタンの和平交渉のための
同志社イニシアティブ
著者プロフィール
中田 考
中田考(なかた・こう)
イスラーム法学者。1960年生まれ。同志社大学客員教授。一神教学際研究センター客員フェロー。83年イスラーム入信。ムスリム名ハサン。灘中学校、灘高等学校卒。早稲田大学政治経済学部中退。東京大学文学部卒業。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。カイロ大学大学院哲学科博士課程修了(哲学博士)。クルアーン釈義免状取得、ハナフィー派法学修学免状取得、在サウジアラビア日本国大使館専門調査員、山口大学教育学部助教授、同志社大学神学部教授、日本ムスリム協会理事などを歴任。現在、都内要町のイベントバー「エデン」にて若者の人生相談や最新中東事情、さらには萌え系オタク文学などを講義し、20代の学生から迷える中高年層まで絶大なる支持を得ている。著書に『イスラームの論理』、『イスラーム 生と死と聖戦』、『帝国の復興と啓蒙の未来』、『増補新版 イスラーム法とは何か?』、『みんなちがって、みんなダメ 身の程を知る劇薬人生論』、『13歳からの世界制服』、『俺の妹がカリフなわけがない!』、『ハサン中田考のマンガでわかるイスラーム入門』など多数。近著の、橋爪大三郎氏との共著『中国共産党帝国とウイグル』(集英社新書)がAmazon(中国エリア)売れ筋ランキング第1位(2021.9.20現在)である。